2025.10.24
社長Blog
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28年続いている仕事
前回のブログ「20年続いている仕事」で長く続けているお仕事について書かせていただきましたが、実はそれよりもさらに長く担当させていただいているお仕事があります。
それは、NTTデータ様が主催されているクラシック演奏会「NTT DATA CONCERT OF CONCERTS」のキービジュアルとグラフィックツール制作です。
先日の10月15日、「opus30」として30周年を迎えられました。私が初めて担当させていただいたのは「opus3」からで、実に28年にわたり携わらせていただいています。長きにわたってクリエイティブに関わらせていただけたことに、心より感謝申し上げます。
「NTT DATA CONCERT OF CONCERTS」は、日本を代表するオーケストラのコンサートマスターや首席奏者が集まって構成される「ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ」による演奏会です。 NTTデータ様は、その活動を支える企業として、30年前から主催を続けていらっしゃいます。とても素晴らしいお取り組みだと思っています。
28年分のキービジュアルを振り返って
30周年という節目を迎えるにあたり、これまでのキービジュアルをひとつひとつ振り返ってみました。 すると驚くほど鮮明にその時代の制作過程や想い出が蘇ってきました。毎回4〜5ヶ月をかけて取り組んできたため、1年の中でも特に思い入れの強い仕事のひとつです。 その年ごとのテーマを反映しつつ、時代のトレンドを取り入れながら、最適な表現を模索してきました。微力ながらも、その時代にふさわしいビジュアルをお届けできるよう努めてきたつもりです。
ヒントは思いがけないところから
今年のキービジュアルは30周年記念ということもあり、さまざまな案を出す上で方向性のひとつとして「28年継続して携わっているからこそできるものを提案したい」と心に決めていました。 社内ブレスト時にその方向のものにおいて、自分自身が煮詰まって悩んでいたところ、メンバーの一人からボツ案にしていたものを見せてもらいました。その中のひとつに「5、6点並んでいる額縁」という切り口がありました。その時点では過去のキービジュアルをアートにするという案ではありませんでした。意味付けにおいて少し弱く、あきらめてボツにしていたようです。
それを見た時にピンときて、私の方で「額縁を30個並べてもらい、そこに過去29回のキービジュアルの一部を入れていく案を作ってみては? 30回目は空白の額縁にして中央に据えて光を放つようにして表現してみたい」と話し、ビジュアルを作ってもらいました。過去のデザインデータを持っており、ずっと携わっているからこそできる案となりました。
実は、このビジュアルは最初から出ていた案ではなかったのです。
30の額縁の展覧会
完成したキービジュアルは、多彩な楽曲で構成されるコンサートを「30の額縁の展覧会」としてイメージを重ねたものです。29の額縁には、過去のopus1〜29のキービジュアルの一部をアートとして収め、30年の軌跡そのものを一つの作品として表現しました。そして中央に配置された30番目の額縁は光を放ち、未来への期待感を象徴しています。

ご提案した複数案の中からこの案を採用いただきましたが、これまでの28年の歩みをひとつのビジュアルに集約できたことは大変感慨深い出来事でした。まさに「28年継続して携わっているからこそできるもの」となりました。
また、この額縁の集合体で成立しているビジュアルは、社内メンバー6名をはじめ、社外のみなさまのご尽力により完成させることができ、その意味も込められているものになったと思っています。改めてみなさまに深く感謝申し上げます。

守ること、そして挑戦すること
長年続ける中で大切にしてきたのは、クライアント様の想いと、演奏を聴きに来られるお客様の想いを汲み取りながら、演奏会の世界観を丁寧に表現すること。 そしてその上で、「守るべきこと」と「挑戦すべきこと」を常に意識してきました。
トーン&マナーを守りながらも、毎回必ず“新しいチャレンジ”をクリエイティブの提案に盛り込むこと。
それが、私がこの仕事において一番意識していることです。
「今回のビジュアルは、今までと雰囲気が違いますね」と言っていただけるのは、私にとって何より嬉しい褒め言葉です。
長く手がけているからこそ、その年その年で“最もふさわしい新しさ”を生み出すことが、続けていく上で大切にしていることです。
長年この業界でお仕事を続けていますが、毎回学ぶことばかりで、新鮮な気持ちでチャレンジしています。これからもお仕事をいただけることに深く感謝しながら、ひとつひとつを丁寧に取り組んでいきたいと思っています。

