2024.10.30
広報Blog
実績
クラシックコンサートとクリエイティブの共通点
前回のブログの続きです。前回は僕が担当した2年分のコンサートのコピーについて書きましたが、今回はコンサートの感想や現場の写真を中心に書いていこうと思います。
29年目を迎えたこのコンサート。弊社でコンサートツールのクリエイティブを手掛けさせていただきました。
前回のブログでも触れましたが、この仕事は社長の西野が長きにわたってクリエイティブに携わっています。最初に手掛けたのが、なんと1998年(第3回目)。今の会社を設立した2008年(第13回目)を経て、今年の2024年(第29回目)まで実に27年間も続いていることになります。
第1回目から今回までのポスターが、デジタルサイネージに映し出されていたので開演前に見てきました。第1回目から第2回目、第2回目から第3回目と、5秒おきくらいにポスターが次々と映し出される様は壮観で、クラシック音楽と同様、歴史と時間を感じました。
(第3回目〜第6回目までのポスター)
(第13回目〜第16回目までのポスター)
題材は同じでも、求められることは変わっていく
ポスターのデザインの変遷を見ながら感じたことは、クラシックコンサートという同じ題材でも時代や年によって求められることが変わっていくんだなということ。色使いや紙の質感、デザインのモチーフやコピーにいたるまで、今のものとは大きく違っていたのが印象的でした。
それは、昔より今のデザインの方がいいとか、逆に昔の方がよかったとか、そういうことではありません。その時代の社会情勢や空気感、クライアントがクリエイティブに求めることなどが変わっていった結果、アウトプットに違いが現れているんだと感じました。
(第25回目〜第28回目までのポスター)
まだこの仕事をはじめて2年目の僕は、自分自身が手がけたものでこれほど長く続いている仕事の経験はもちろんありません。ですが、「同じ題材でも求められることが変わっていく、それによってアウトプットも変えなければいけない。」という考え方は長く続く仕事すべてに通じるものなのかなと思いました。
同じ題材を扱っていると、次第にアイデアが出にくくなったり、同じようなアウトプットになってしまいがちです。ですが、今回のポスターのように、題材は同じでも求められることが毎年違う。「クラシックコンサート」として考えるのではなく、「今年のクラシックコンサート」として捉える。そうすれば、考えることも自ずと毎年変わっていくはずだなと、そんなことを感じました。
(すべては紹介できませんが、ポスター以外の制作物も弊社で手がけています。 こちらは会場で配られるパンフレット)
(会場となったサントリーホールの公演掲示板)
2度目のクラシックコンサート鑑賞
さて、前置きが長くなってしまいましたが、実際のコンサートはどうだったのか。ここから音楽を聴いて感じたことを書いていこうと思います。昨年も鑑賞したので、クラシックコンサートの鑑賞は今回で2度目でした。
まず演奏が始まった時の音が綺麗すぎてすぐに耳を奪われました。次第に激しさを増し、何重にも重なる音、迫力のある演奏。そうかと思えば次の瞬間にはバイオリンの音色だけが繊細に響く。
耳だけでなく、目からもいろんな情報が飛び込んできます。指揮者の動き、奏者の表情や姿勢、楽器の動かし方。時に静かに、時に激しく。音楽は詳しくありませんが、その調和のとれたオーケストラの動きにただただ圧倒されました。
木も見て森も見る
演奏が素晴らしかったことは言うまでもありませんが、僕がコンサートを通じて思ったことは「細部と全体を両方見る」ことの難しさと面白さでした。
細部を気にしすぎて、ものごとの本質や全体像を見失ってしまうことの例えとして「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、コンサートを見てまさにそんなこと感じました。
ひとつの音だけを聴きすぎると他の音とのハーモニーが聴こえない。逆に全体のハーモニーを聴いていると特定のひとつの音が聴こえない。
同様に、指揮者の動きだけを見ていると全体の動きが見えない。全体を見ていると楽器を弾く指先の動きが見えない。これが難しくて、そしてそれ以上に面白いなと。
バイオリンの音だけを聴いてみたり、目を閉じて全体のハーモニーを楽しんだり。指揮者の動きを目で追う時もあれば、音とともに全体を見渡すこともある。
数十分の演奏時間の中で、この細部と全体を行ったり来たりする。そのときどきによって見方や聴き方を変え、木も見て森も見るような楽しみ方をすることで、クラシック音楽が持ついろんな表情を楽しむことができました。
これは日々のクリエイティブにも通じる部分があるなと思いました。細部と全体。個々と調和。どちらか一方だけではダメで、細部にこだわりつつも、全体の調和も忘れない。
クリエイティブだけではなく、アートやスポーツ、何でもそうかもしれませんね。個人と組織という意味では会社もチームも同じかもしれません。
オーケストラの演奏を聴いてこういった感想を持つなんて鑑賞前には思いもしませんでした。すべてのことから学ぶことはありますね。
変わらないものと変わるもの
休憩を挟んで2時間くらいの公演時間でしたが、まったく長く感じませんでした。まるで別世界にいるような感覚とでもいいましょうか。
クラシック音楽に関しては、まさに今年のコピーに書いた通りのことを思いました。
「変わらない名曲、変わり続けるハーモニー。」
およそ200年前にできた譜面。変わらない名曲。
200年ものあいだ演奏され続け、その度に変わり続けてきたハーモニー。
変わらないものと変わるもの。個々と調和。そんなたくさんのことを感じさせてくれた素晴らしいコンサートでした。