2024.07.25
広報Blog
思い
相手目線で考えると、うまくいく
今回は、バスケ選手からコピーライターへ転職した僕が、現役時代に感じた体験をもとに「相手目線で考えると、うまくいく」というテーマでブログを書いていこうと思います。
自分目線で「なんで試合に出られないのか」と嘆くのではなく、監督目線で「試合に出したいと思う選手はどういう選手か」を考えよう、といったような話です。
試合に出られないという不満
バスケというスポーツにおいて、監督と選手の関係は非常に複雑で難しいものだと実感しています。なぜなら試合に出られるのは5人、ベンチに入れるのは12人と人数が決まっているからです。
当然、試合に多く出る選手と、あまり出場機会がない選手がいます。出場できる枠が決まっている限り、そこに競争が生まれ、みんな平等ということはあり得ません。
僕はキャリアの始まりが練習生だったこともあり、あまり試合に出られない時期が長く続きました。この時は、なんで自分を試合に出してくれないんだろう、と監督に対して不満を抱いていたように思います。
衝撃的だった先輩からの言葉
あれはプロになって2、3年目くらいの時でしたかね。あるとき僕は、「自分が試合に出ても今試合に出ているメンバーと同じくらい活躍できるのに、何で試合に出してくれないんだろう」と先輩に悩みを打ち明けたことがありました。
これは根拠のない自信ではなく、実際に練習ではスタメン相手にもいいプレイができていた実感があっての相談だったことを覚えています。
その時先輩に言われた一言が、衝撃的すぎて今でも覚えています。
それは、「お前が出ても活躍できると思うけど、お前じゃなきゃいけない理由がない」というものでした。この言葉で、僕はそれまで自分目線でしか考えていなかったことに気づかされました。
相手目線で考えてみる
監督目線で見ると、当時の僕はまさにこの言葉通りの選手だったのです。今試合に出ているメンバーで勝てている。試合に出せばある程度はやってくれると思うけど、そのメンバーを差し置いてまで試合に出そうとは思えない。出す理由がない。
あえて話を単純化して例えるなら、全ての能力が80点の選手が試合に出ているのに、全ての能力が75点の僕を出す理由がない。たしかに実力はあまり変わらないかもしれないけど、だったら80点の選手を出すよね、といった話です。
納得しすぎて逆にショックを受けたことを覚えています。そこからは僕を出したくなる理由を必死で探しました。こういう場面ならコイツを出そう、と思ってもらえるような武器は何か。他の能力は劣っていても、90点を取れるものは何か。
そして「ディフェンスを武器にする」という答えにたどり着いたのです。当時のチームではオフェンスが得意な選手はたくさんいましたが、ディフェンスが得意な選手がいなかったので、ディフェンスを武器にしょうと。
そうして徹底的にディフェンスという武器を磨いて、他の選手にはない特徴のある選手になることで、チームに必要とされ、徐々にプレイタイムを伸ばすことができました。
監督目線で見ると、なんとなく試合に出さないのではなく、出さないのは出さないなりの理由があったのです。なにか不満があった時に、自分の感情や事情を一旦脇に置いて、相手目線で考えてみる。そうすることで、自分に必要なことが初めてわかった気がします。
相手目線で考えるクリエイティブ
この話は、今の仕事であるデザインやコピーというクリエイティブにも通じる部分があると思っています。例えば、クライアントに提出した案に修正が入ったとき。自分の事情は一旦置いといて、クライアント目線で考えてみる。
どこが良くなかったのか、何を求めているのか。そう考えることで初めて必要なことが見えてくるように思います。本当の目的がわかれば、修正依頼とは違う表現で課題解決ができるかもしれない。
自分が作りたいデザインや、自分が好きなコピーといった自分目線ではなく、クライアント目線で課題を解決するためのクリエイティブを探っていく。
もうひとつ視野を広げて、クライアントはこう言っているが、それを手に取ったお客さんはどう思うか、お客さん目線で考えてみる。企業の言いたいこととお客さんの知りたいことにギャップはないか。
これらも全て「相手目線で考える」ということに尽きると思います。
バスケの例に合わせると、「なんで自分の案を採用してくれないんだ」と不満を言って終わらない。クライアント(もしくは社内会議における上司)目線で考えると、採用しない理由が必ずある。
自分は特別な案だと思っていても、他の人の目線では普通かもしれない。「お前の案でもいいけど、お前の案じゃなきゃいけない理由がない」実際にこういう風に言われたことはないけど、例えるならそんな感じです。
じゃあどういう案なら採用したいと思ってもらえるか。自分の事情を一旦置いといてそれを考える。そうすることで物事の捉え方が変わってくると思います。かつての僕がそうであったように。
最後に、自分のことを過大評価せず、独自性バイアスにとらわれないために、文化人類学者のマーガレット・ミードの言葉を紹介して終わりにします。
「あなた方は世界で唯一無二の存在です。他の誰もがそうであるように」